仕入マン実録!その土地のみるべきポイント教えます

私はアパート・マンション用地の仕入れを行なっています。事業用地を取得する際は、慎重に目利きをする必要があります。なぜなら、目利きを間違うと多額の損失を被る可能性があるからです。

では、仕入れマンは、不動産のどこを見て、どう検討しているのかを簡単に説明させていただきたいと思います。ひとことで言うなら、「その土地に、どんな建物が建てられるか」を見ています。

対象地の制限の確認

まず、物件の住所から対象地の場所による制限について調べます。これは私たちの開発する集合住宅の建築にあたってルールの確認をする為です。都道府県や市区町村ごとに集合住宅の建築にあたって条例や指導要綱が設けられており、それぞれルールが異なっています。建築プランを考える際には地域に沿ったルールを守らなければならない為、確認は必須です。

どんな資料で確認できる?

法務局備付の資料

登記簿謄本や地積測量図を確認することも重要です。登記簿謄本には登記された日付時点でのどんな土地や建物なのか、誰がどんな権利を持っているのかを知ることができます。また、地積測量図を見ることで測量した当時の地形を確認することができます。これらどちらも現在の状況と必ずしも一致しているわけではないという点に注意しなければなりません。

②都市計画図

用途地域

用途地域とは建築できる建物の種類、用途の制限を定めたルールです。大きく分けて、「住居系」「商業系」「工業系」の3つに分かれており、さらに細かく13種類に分けられています。

建ぺい率/容積率

建ぺい率とは、土地に対して建てられる建物面積の割合のことです。容積率とは、土地に対して建てられる延べ床面積の割合のことです。

引用:一般社団法人 大阪府宅地建物取引業協会( https://www.osaka-takken.or.jp/knowledge/2019/12/QA062.html )

これらは用途地域によってそれぞれ制限がなされているため、どの程度の規模の建物が建てられるかをイメージするのに役立ちます。しかし、この後に記載するルールを守って建築しなければならないため、建ぺい率/容積率ともに最大まで建てられるわけではない場合があります。

③高さ制限

建物の高さを制限するためのルールに道路斜線制限・隣地斜線制限・北側斜線制限・日影規制・高度地区が存在します。これらすべての制限を守る必要があるため、中でも最も規制が厳しいものをクリアできるように検討しなければなりません。

道路斜線制限

道路の日照や採光、通風に支障をきたさないように、また周辺に圧迫感を与えないように、建築物の高さを規制したルールのことです。

隣地斜線制限

隣人の日照や採光、通風等、良好な環境を保つため建築物の高さを規制したルールのことです。

北側斜線制限

北側の隣人の日当たりを考慮し、南からの日照の確保のために建築物の高さを規制したルールのことです

高度地区

建物の高さの制限を定めている地区です。大きくわけて2つあり、建物の高さの最低限度を定める最低限度高度地区(最低高さ制限)と、最高限度を定める最高限度高度地区(最高高さ制限)とがあります。また、日照や通風の確保を目的とした斜線型高さ制限も存在します。斜線制限が全国共通の規制であるのに対し、高度地区による制限は自治体ごとに異なるため、必ずチェックする必要があります。

日影規制

全く日が当たらないことのないように建物の高さを制限する規制です。周囲の日照を確保して、心地よい暮らしを阻害することを防ぐ目的で決められています。

※ここで重要なポイント!道路の向き、幅員、種別に注意!

今まで説明した高さ制限のラインは隣地との境界の北側から適用されるものが多く、それらは北側に道路があれば道路の端から適用されるので、制限が緩和されます。そのため道路の向きが重要となってきます。また、土地が角地に位置していたり、土地の両面に道路がある場合には建ぺい率の緩和措置が存在します。加えて、幅員は斜線制限だけではなく、容積率の制限にもかかわります。そもそも工事車両が通れるのかも建築の可否に重要になります。さらに、前面道路が公道なのか、私道なのかも確認する必要があります。公道であれば、都市計画道路に指定されていないか、私道であれば、所有者の方から通行や掘削の許可が取れているのかを見ています。

地形について

建物プランが成り立つかどうかを判断するために非常に重要です。どん突きや路地状敷地といった場合、建築基準法や市区町村の条例によって集合住宅の建築が制限される地形が存在します。

測量図

測量図は3種類存在し、現況測量図、地積測量図、確定測量図があります。現況測量図は隣地の所有者との立ち合いを行わない、仮の位置で測った測量図のことです。地積測量図は分筆登記等の際に添付される測量図で、登記所に申請書類として保管されているものですが、確定測量図であるとは限りません。確定測量図はすべての隣地所有者の立会を得て、境界確定された測量図のことです。

境界確定、越境の有無

土地の境界問題は、特に都市部の土地の場合、隣地とのトラブルとして一番起こりやすい問題です。フェンスや塀がなく、土地の境界が不明な土地や境界標が見当たらない土地などは、土地家屋調査士による調査で確定測量を実施し、境界を明らかにしてもらう必要があります。

これらを確認する必要性は?

不動産の購入は小さな見落としが大きなトラブルにつながる可能性を伴っています。金額が高い買い物であるため、大きな損失になるリスクや、隣地の方とのトラブルや、建築予定の建物が建てられなくなってしまったりと、 トラブルを回避するためにも、購入前に確認できるところは現地に実際に土地を見に行ったり、役所に行って調査すべきです。

まとめ

確認しなければならないポイントが多く、また聞きなれない言葉もたくさんあったかと思います。次回以降は、確認すべきポイントをそれぞれ深く掘り下げ、皆さんによりわかりやすく説明できればと思います。不動産の購入は一生に何度もない大事な買い物だと思いますので、皆さんも知識として身に着けておくと役に立つかもしれません。