不動産投資で物件を探すとき、「新築か中古か」と並んで投資家を悩ませるのが、「都心か地方か」というエリア選定の問題です。
ニュースでは「東京一極集中」が叫ばれる一方で、地方には思わぬ「お宝物件」が眠っているという話も耳にします。安定の都心か、それとも高利回りの地方か。この選択は、あなたの不動産投資の成否を大きく左右する重要な戦略です。
この記事では、都心と地方、それぞれの不動産投資におけるメリット・デメリットを客観的に比較し、あなたの投資スタイルに最適なエリアを見つけるためのヒントを解説します。
【この記事はこんな人におすすめ】
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【目次】
- 一目でわかる!「都心」と「地方」の投資スタイルの違い
- 資産価値と安定性の「都心」不動産投資
- 高利回りと掘り出し物の「地方」不動産投資
- 結論:あなたの目的は?「都心」と「地方」どちらを選ぶべきか
- まとめ
Contents
一目でわかる!「都心」と「地方」の投資スタイルの違い
まず、都心での不動産投資と地方での不動産投資が、どのような特徴を持つのか全体像を掴みましょう。
比較項目 | 都心の不動産投資 | 地方の不動産投資 |
物件価格 | 高い | 安い |
利回り | 低め(インカムゲイン) | 高め(インカムゲイン) |
資産価値 | 安定・上昇期待(キャピタルゲイン) | 下落リスクあり |
空室リスク | 低い(人口集中) | 高い(人口流出) |
家賃下落リスク | 低い | 高い |
入居者の属性 | 多様(学生、社会人、法人など) | 限定的(地域による) |
売却のしやすさ | 売りやすい(流動性が高い) | 売りにくい(流動性が低い) |
都心は「資産価値(キャピタル)」を重視した長期安定型、地方は「利回り(インカム)」を重視したハイリターン狙いの投資、という傾向が見えてきます。
資産価値と安定性の「都心」不動産投資
人口と経済が集中する都心部での不動産投資は、王道とも言えるスタイルです。
都心のメリット
① 圧倒的な賃貸需要と低い空室リスク
都心、特に東京圏には、進学や就職で常に人が集まり続けます。この旺盛な賃貸需要が、不動産投資の最大のリスクである「空室」を防ぐ強力な防波堤となります。景気の波に左右されにくく、安定した家賃収入を長期にわたって見込めるのが最大の魅力です。
② 資産価値が落ちにくく、上がりやすい
日本の人口が減少する中でも、都心部の人口は増加傾向にあります。人が集まる場所の土地の価値は、下がりにくいのが原則です。物件価格は高いですが、それは「価値が担保された土地」という強固な資産を手に入れることと同義です。将来、売却する際にも値上がり益(キャピタルゲイン)を期待できる可能性があります。
③ 売却しやすく、出口戦略が立てやすい
都心の物件は、買いたいと考える投資家の数も多いため、売りたい時に比較的スムーズに売却できます。この「流動性の高さ」は、急に現金が必要になった際や、別の物件に買い換えたいと考えた際の安心材料となります。
都心のデメリット
① 物件価格が高く、参入障壁が高い
最大のネックは、物件価格の高さです。アパートやマンションを一棟購入するとなると、億単位の資金が必要になることも珍しくありません。相応の自己資金や高い属性が求められるため、誰もが簡単に始められるわけではありません。
② 利回りが低く、キャッシュフローが出にくい
物件価格が高い分、家賃収入の割合は相対的に低くなります。表面利回りが3~5%台という物件も多く、融資の返済や経費を差し引くと、手元に残る現金(キャッシュフロー)が少なくなりがちです。
高利回りと掘り出し物の「地方」不動産投資
一方、地方での不動産投資は、都心とは全く異なる魅力と戦い方が求められます。
地方のメリット
① 物件価格が安く、少ない資金で始められる
地方では、数百万円台から購入できる中古アパートや戸建ても見つかります。少ない自己資金で不動産オーナーになれるため、投資の第一歩として非常に魅力的です。同じ資金でも、都心ならワンルーム1室のところ、地方ならアパート一棟が買える、ということも起こり得ます。
② 高い利回りが期待できる
物件価格が安いため、表面利回りが10%を超える、いわゆる「高利回り物件」も珍しくありません。うまく運営できれば、投資額に対して多くのキャッシュフローを生み出し、短期間で資金を回収することも夢ではありません。
③ 競合が少なく、優良物件を見つけやすい
都心に比べて投資家の数が少ないため、競争が激しくありません。地域に根ざした不動産会社と良好な関係を築くことで、市場に出回る前の「掘り出し物」情報を得られるチャンスもあります。
地方のデメリット
① 人口減少による空室・家賃下落リスク
地方が抱える最大のリスクは、人口減少です。地域の大学が移転したり、主要な工場が撤退したりすると、賃貸需要が一気になくなり、空室が埋まらなくなる危険性があります。需要が減れば、家賃を下げざるを得ない状況にも陥ります。
② 出口戦略が難しく、売却しにくい
都心と比べて「買いたい」と考える人が少ないため、いざ売却しようとしても買い手が見つからず、希望の価格で売れない、あるいは長期間売れ残ってしまう「塩漬け」状態になるリスクがあります。
結論:あなたの目的は?「都心」と「地方」どちらを選ぶべきか

結局のところ、どちらが良いかはあなたの投資目的次第です。
都心の不動産投資がおすすめな人
- リスクを抑え、長期的に安定した資産形成を目指す方
- 目先のキャッシュフローよりも、将来的な資産価値を重視する方
- 潤沢な自己資金がある、あるいは金融機関から高額な融資を受けられる方
- 最終的に売却して利益を確定させたい(出口戦略を重視する)方
地方の不動産投資がおすすめな人
- 高いリスクを取ってでも、高いリターン(キャッシュフロー)を追求したい方
- 少ない自己資金から不動産投資をスタートさせたい方
- その土地の将来性を見極める情報収集力や、物件を再生させる知識・情熱がある方
- 売却は考えず、永続的に家賃収入を得ることを目的とする方
まとめ
都心と地方の不動産投資は、同じ「不動産」という名前がついていても、その性質は大きく異なります。
都心は、ローリスク・ローリターン(インカム)ながら、資産価値の高いミドルリスク・ミドルリターン(キャピタル含め)の投資。 地方は、ハイリスク・ハイリターンの側面が強い投資。
どちらのエリアを選ぶにせよ、その土地の人口動態や賃貸需要、将来性などを徹底的にリサーチすることが成功の鍵となります。「有名だから」「利回りが高いから」という理由だけで飛びつくのではなく、あなたの目標達成に最適な場所はどこなのか、信頼できるパートナーとじっくり相談しながら見極めていきましょう。