不動産投資の「利回り」計算式と正しい見方。表面利回り・実質利回り・ROIの違いを理解する

不動産投資の「利回り」計算式と正しい見方。表面利回り・実質利回り・ROIの違いを理解する

「この物件は利回り12%です! 非常に高収益ですよ」 ポータルサイトで物件を探していると、こうした魅力的な数字が目に飛び込んでくることがあります。

一般的な事業投資や株式のROI(投下資本利益率)の感覚であれば、「4%」より「12%」の方が優秀な数字であることは明白です。

 しかし、ここに不動産投資特有の「数字の綾」があります。 実は不動産においては、高利回りが必ずしも「儲かる」ことを意味しません。むしろ、高利回り物件ほど、最終的な手残り(キャッシュフロー)が少なくなるリスクさえあるのです。

この記事では、不動産投資の成否を分ける「利回り」の正しい計算方法と、プロが重視する「実質利回り(NOI利回り)」や「ROI」の概念について解説します。読めば、表面的な数字に惑わされず、本当に「資産が増える物件」を見極めるための収支の見方が身につくはずです。

不動産投資の全体像を把握したい方は、こちらを先にご覧ください。

リンク:高年収サラリーマンのための不動産投資入門。信用力を資産に変える「仕組み」と3つのメリット

【この記事はこんな人におすすめ】

  • ポータルサイトで「利回り順」に並び替えて物件を探している方
  • 「表面利回り」と「実質利回り」の違いを正確に計算できない方
  • 都心の新築物件は利回りが低いから儲からない、と誤解している方
  • 地方の高利回り物件に魅力を感じているが、リスクが心配な方
  • 最終的な手残り(キャッシュフロー)を最大化したい方

【目次】

  1. 「表面利回り」と「実質利回り」の決定的な違い
  2. 「高利回り=正義」ではない。数字の裏にあるリスク
  3. 本当に儲かるのはどっち?「キャッシュフロー」で判断する
  4. 投資効率を測る重要指標「ROI」とは?
  5. まとめ:数字の「中身」をシミュレーションしよう

 

Contents

「表面利回り」と「実質利回り」の決定的な違い

不動産投資の広告図面には必ず「利回り」が記載されていますが、そのほとんどは「表面利回り」です。しかし、実際にあなたの手元に残るお金を知るには、「実質利回り」を計算する必要があります。

表面利回り(グロス):あくまで「目安」

最も単純な計算式で出される数値です。

  • 計算式: 年間家賃収入 ÷ 物件購入価格 × 100

例えば、価格1億円で、満室時の年間家賃が500万円の物件なら、表面利回りは5.0%です。 しかし、ここには「空室」や「経費」が一切考慮されていません。あくまで「満室で、経費がゼロだった場合」という理想値にすぎません。

実質利回り(NOI利回り):現実的な「手取り率」

投資判断において最も重要なのが、この実質利回り(NOI利回り)です。

  • 計算式: (年間家賃収入 - 運営経費) ÷ (物件購入価格 + 購入時の諸経費) × 100

ここでの「運営経費」には、以下のようなものが含まれます。

  • 固定資産税・都市計画税
  • 管理委託費
  • 修繕積立金
  • 共用部の水道光熱費
  • 空室による損失(重要)

表面利回りが高くても、運営経費がかさめば実質利回りは大きく下がります。プロの投資家は、必ずこのNOI利回りを見て物件の実力を判断します。

※税率や減額措置の詳細は自治体により異なります。

固定資産税の概要(総務省): 固定資産税の概要

「高利回り=正義」ではない。数字の裏にあるリスク

「地方の築古アパートで利回り15%」
「都心の新築アパートで利回り5%」

これを見て、「15%の方が3倍も儲かる」と考えるのは危険です。なぜなら、不動産投資における高利回りは、多くの場合「リスクプレミアム(期待収益への上乗せ分)」を含んでいるからです。

利回りの高さは「リスクの高さ」の裏返しかもしれない

一般的に、地方や築古の物件は物件価格が抑えられる傾向にあり、結果として計算上の利回りが高く算出されます。その背景には、次のような事情が含まれていることが考えられます。

  • 空室リスクの懸念: 賃貸需要が限定的なエリアでは、入居付けに時間がかかったり、家賃設定を見直さざるを得ない可能性があります。
  • 修繕費用の発生: 築年数が経過しているため、設備の故障やメンテナンスなど、突発的な出費が発生するリスクを見込む必要があります。
  • 流動性の低さ(出口戦略): 将来売却しようとした際、条件に合う買い手が見つかるまでに時間を要するケースがあります。

つまり、「リスクやコストがかかる分、価格を安く(=利回りを高く)設定しないと買い手がつきにくい」という市場原理が働いている側面があるのです。 表面利回りが15%と魅力的であっても、空室や修繕で経費率が高くなれば、最終的に手元に残る利益は想定よりも少なくなる可能性があります。

なぜ富裕層があえて利回りの低い「一棟買い」や「都心物件」を選ぶのか。その理由は以下の記事で詳しく解説しています。

リンク:なぜ富裕層は「一棟買い」を選ぶのか?不動産投資で大きな資産を築くアパート・マンション経営の魅力

本当に儲かるのはどっち?「キャッシュフロー」で判断する

本当に儲かるのはどっち?「キャッシュフロー」で判断する

不動産投資の目的は、利回りを自慢することではなく、「キャッシュフロー(CF:手残り金額)」を最大化することです。

実は、表面利回りが低い「都心・新築物件」の方が、最終的なCFが多くなるケースが多々あります。

都心・新築(低利回り)でも手残りが多くなるカラクリ

ここには「融資条件」と「経費率」が大きく関わっています。

  • 地方・築古(高利回り)の場合:
    • 融資期間が短い(例:15年)ため、毎月の返済額が大きい。
    • 修繕費などの経費率が高い。
    • 結果:家賃は入ってくるが、返済と経費で消えて手残りはゼロ。
  • 都心・新築(低利回り)の場合:
    • 融資期間を長く引ける(例:35年)ため、毎月の返済額が小さい。
    • 設備が新しく、修繕費などの経費率が低い。
    • 結果:家賃収入はそこそこだが、返済と経費が少なく、手元に現金がしっかり残る。

「高利回り物件を買ったのに、毎月赤字で苦しんでいる」という失敗は、この返済比率と経費率のシミュレーション不足から起こります。

投資効率を測る重要指標「ROI」とは?

最後に、もう一つ覚えておきたい指標が「ROI(投資利益率)」です。 これは、投じた「自己資金」に対して、どれだけのリターンがあったかを示します。

  • 計算式: 年間キャッシュフロー ÷ 自己資金 × 100

不動産投資は、銀行からの融資(レバレッジ)を使えるため、自己資金を抑えることができます。 利回りが低くても、融資をうまく活用して自己資金を少なく抑えれば、ROI(自己資金に対する効率)は20%~30%を超えることも珍しくありません。

これが、株式投資にはない不動産投資ならではの「資金効率の良さ」です。

最終的な投資成果は、毎月のキャッシュフローだけでなく、将来の「売却額」も含めて決まります。 出口での利回り計算については、以下の記事も参考にしてください。

リンク:【保存版】不動産投資の売却タイミングはいつ?アパート経営の出口戦略と収益物件を高く売る5つの見極め方

まとめ:数字の「中身」をシミュレーションしよう

今回は、不動産投資の「利回り」の正しい見方について解説しました。

  • 表面利回りはあくまで目安。重要なのは経費を引いた「実質利回り(NOI利回り)」
  • 地方・築古の高利回りは「リスクの裏返し」である可能性が高い。
  • 都心・新築は利回りが低くても、融資条件と経費率の良さでキャッシュフローが出やすい。
  • 物件価値は、利回りの数字だけでなく、「手残りがいくらか(キャッシュフロー)」と「自己資金効率(ROI)」で判断する。

ポータルサイトの数字だけを眺めていても、本当に儲かる物件は見つかりません。 重要なのは、あなたの属性で引ける「融資条件」や、具体的な「運営経費」を組み込んだ、精度の高いシミュレーションを行うことです。

「気になっている物件があるが、本当に手残りが残るのか不安だ」
「自分の年収だと、どのような融資条件で、どのくらいの利回りの物件が狙えるのか?」

そうお考えの方は、ぜひ一度弊社の個別相談をご活用ください。表面的な数字ではない、リアルな収支シミュレーションを作成いたします。

※具体的な税務シミュレーションや節税効果の確認については、提携の税理士等と連携して対応、または専門家へのご相談を推奨しております。

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